燃焼モード切替エンジン(その3)
前回、前々回の続きで、本テーマでの最終頁です。
高度100kmへ到達するために、各社様々な方式を用い、それぞれに利点、欠点があることを説明してきました。
これらを踏まえて、弊社の機体コンセプトは、以下のとおりとしました。
| ・航空機のように、水平での離着陸 | :既存空港インフラの利用によるコスト低減、お客様への心理的、身体的負担の低減 |
| ・完全再使用型の機体 | :落下物を無くすことで、運用領域確保にかかるコストの低減 |
| ・機体、エンジン共に1つ | :整備、運用にかかる維持コストの低減、システム簡素化による信頼性向上 |
| ・着陸時にエンジン再着火 | :滑空ではなく、既存ジェット機と同様に上空待機が可能(利用空港の範囲拡大) |
これを実現させるために必要な技術が、「燃焼モード切替エンジン」です。
「燃焼モード」とは、空気吸い込みのジェット燃焼モードと、搭載酸化剤を用いたロケット燃焼モードを指します。
この二つの燃焼モードを切り替えることで、ジェットエンジンとロケットエンジンを一つにしようというのが弊社のコンセプトです。
ところが、前々回のブログ(その1)に書きましたとおり、既存のジェットエンジンとロケットエンジンは、全く構造が異なり、一つには出来ません。(エンジン分類)
1つのエンジン内に両方のエンジンを抱え込む「コンバインドサイクルエンジン」という形式であれば存在しますが、これでは簡素でもなく、重量も低減できず、純粋な意味での「切替」ではないです。
そこで弊社が注目したのは、「パルス燃焼」です。
一般的なジェットエンジン、ロケットエンジンは、「バーナー燃焼」です。
これらの大きな違いは、燃焼の連続性と火炎伝播速度(燃焼速度)です。
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| ジェットエンジン Image credit : Wikipedia |
ロケットエンジン Image credit : モデルロケット展示室 |
パルス燃焼エンジン |
この特徴の違いが、エンジンの構造を大きく変えることになります。
バーナー燃焼は、燃焼を継続させるために、コンプレッサー、ターボポンプなどを用いて、燃料と酸化剤(或いは空気)を強制的にエンジン内に供給する必要があります。
一方、パルス燃焼は、爆発現象を用いるため、そのような機械装置が不要になり、エンジン本体は単純な管構造のみとなります。
この構造の単純さが、ジェットエンジンとロケットエンジンを1つに出来る重要な要素となります。
主管(エンジン本体)へ供給するのを、燃料はそのままで、酸化剤を大気から吸い込んだ空気か、搭載している酸化剤か、を切り替えるのみで、ジェットエンジンと、ロケットエンジンを自由に切り替えることが出来るのです。
これが弊社の考える「燃焼モード切替エンジン」です。
空気のある領域は、空気を吸って間歇的に爆発させ、空気が薄くなってきたら、今度は搭載酸化剤を用いて、あたかも空気が入ってきたかのように間歇的に酸素を供給して、間歇爆発を継続させる、という考えです。
実際の運用においては、このエンジンを複数搭載し、順次切り替えていくことを考えています。
切替機構や、空気吸い込み時のバルブ機構など、解決すべき課題があり、直ぐに実用化できる状況にはありません。
今後の開発においては、これらの課題解決に重点を置くことになります。
「パルス燃焼」は、燃焼速度が極めて速いことを上述しましたが、燃焼速度が音速以下を「爆燃」、音速を超え衝撃波を伴うものを「爆轟(デトネーション)」と呼びます。
エンジン効率を上げるためには、パルス燃焼をデトネーション化(パルスデトネーション)させる必要があります。
これも弊社のキー技術であり、今後の開発目標でもあります。
「パルスデトネーション」ついては、また別頁で説明したいと思います。





